英自動車工業会(SMMT)は6月23日、新型コロナウイルスの影響による国内自動車業界の苦境が深刻化しているとして、政府に支援強化を求める声明を発表した。このままでは業界全体で従業員6人のうち1人の割合で失職する恐れがあるとしている。
SMMTによると、業界では従業員の3分の1が休業中。現在は政府の給与補てん策で解雇を抑えているが、11月に打ち切られると雇用を維持できなくなり、多くが失業するとして、補てん措置の延長を求めている。
このほか、自動車メーカーへの資金繰り支援強化や、需要喚起策として自動車の付加価値税(VAT)引き下げなども必要としている。
SMMTの最新予測では、今年の国内の乗用車、小型商用車の生産台数は新型コロナの影響で前年比3割減の92万台にとどまる見通し。欧州連合(EU)と自由貿易協定(FTA)で合意し、2021年以降も関税ゼロを維持できたとしても、25年まではコロナ危機前の水準である135万台まで回復しないと試算している。EUとのFTA交渉が決裂し、完成車に10%の関税か課されるようになると、生産台数は25年までに85万台を下回り、1953年以来の低水準に落ち込むと予想。これによって25年までの5年間で、コロナ関連も含めて400億ポンド(約5兆3,000億円)の損失が生じると見込んでいる。