30年の温効ガス削減目標、環境相理で合意できず

欧州連合(EU)加盟国は14日、テレビ会議方式で環境相理事会を開き、2030年の温室効果ガス削減目標について協議したが、従来の目標を引き上げるかどうかについて意見が分かれ、結論を持ち越した。

EUは地球温暖化対策の国際的枠組みを定めた「パリ協定」に基づき、域内の温室効果ガス排出量を30年までに1990年比で少なくとも40%削減するとの目標を掲げてきた。その後、50年までに域内の温室効果ガス排出量を「実質ゼロ」にして、世界初の「気候中立」を実現するとの長期戦略を打ち出し、それに伴い30年の削減目標を従来の40%から50~55%に引き上げる方向で検討が進められている。

ロイター通信によると、環境省理ではスペイン、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、オランダ、オーストリア、ルクセンブルクが削減目標を55%に引き上げる案を支持したのに対し、ポーランド、スロバキア、ブルガリア、ルーマニア、チェコ、ハンガリーが反対を表明した。会議に先立ち東欧6カ国は欧州委に書簡を送り、削減目標を引き上げた場合の影響評価が完了するまで新たな目標を支持することはできないと表明していた。

ドイツのシュルツェ環境相は会議終了後、「新たな削減目標に懐疑的な国がいくつかある。なぜより高い削減目標を設定することが重要かを説明し、早期の合意形成を目指す」と述べた。

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