独自動車部品大手のフロイデンベルクは8日、事業部門フロイデンベルク・シーリング・テクノロジーズ(FST)が大型トラック向けの燃料電池システムを開発すると発表した。商用車の改造を事業とするQuantronと協力し、40トンの大型トラックで実証試験を実施する。
2021年半ばには、バイエルン州で燃料電池システムを搭載した最初の試験車両の試験走行を開始する計画。当該プロジェクトは、バイエルン州政府の経済・地域開発・エネルギー省のエネルギー研究プログラムが支援している。
40トンの大型トラックは積載容量が大きいため、物流業界で高い需要がある一方、燃費やCO2排出量の多さが課題となっている。また、電動車は、都市部では効率よく活用できるものの、重量が重く、長距離を走行する大型トラックを電気駆動とした場合、1回のフル充電での走行距離が限られるほか、充電時間が長くなると稼働率が低くなる問題がある。
このような背景から、FSTでは、従来のディーゼルトラックに替わる燃料電池トラックを開発し、耐久性や機能性などを試験する。
FSTは1990年代半ばから、燃料電池や車載電池向けの部品を開発しており、例えば、ガス拡散層(GDL)や燃料電池スタックのシールなどを開発している。2018年には独燃料電池メーカーElcoreの部分買収や、米電池メーカーXALTエナジーへの出資により、燃料電池やバッテリー技術のノウハウを強化してきた。昨年には、ドイツの長距離バス運行会社FlixBusや造船大手Meyer-Werftとの協力により、バスやクルーズ船用燃料電池の開発プロジェクトを開始している。