欧州連合(EU)統計局ユーロスタットが3日に発表したユーロ圏の4月の失業率は7.3%となり、前月の7.1%(速報値の7.4%から改定)から0.2ポイント上昇した。雇用情勢は新型コロナウイルス感染拡大の影響で3月から悪化しているが、失業率は予想を下回る水準。各国の雇用支援が奏功し、失業者の急激な増加が抑えられているもようだ。
EU27カ国ベースの失業率は前月を0.2ポイント上回る6.6%。主要国ではフランスが8.7%、スペインが14.8%で、それぞれ前月の7.6%、14.2%から大幅に膨らんだ。ドイツは前月から横ばいの3.5%。イタリアは6.3%と、前月から1.7ポイント縮小した。
EUでは大半の国が4月に新型コロナ対策として厳しい外出・営業制限を導入した。このため、ユーロ圏の失業率は8%台まで悪化すると予想されていた。小幅の上昇にとどまったのは、各国が休業中の企業による人員解雇を防ぐため、手厚い助成制度を導入していることが大きい。また、失業しながらも外出制限を受けて求職活動をしていない人が多く、完全失業者として勘定されていないことも背景にある。これがイタリアで失業率が低下した要因となっている。
4月の失業者数は、ユーロ圏が前月を21万1,000人上回る1,191万9,000人、EUが同39万7,000人増の1,407万9,000人と推定されている。