クロアチアの洋上LNGターミナル、カタール企業が空き容量を全て予約

クロアチアで液化天然ガス(LNG)ターミナルを運営するLNGクロアチアは15日、同社がアドリア海のクルク島に建設中の洋上LNGターミナルについて、今後3年間の契約容量が満杯になったことを明らかにした。これはカタールのターミナル運営事業者パワーグローブ・カタールが15年間の使用契約を結んだことに伴うもの。同ターミナルの処理能力は年間26億立方メートルで、来年1月に稼働を開始する予定だ。

クロアチア政府は昨年にクルク島のLNGターミナルに投資する決定をしていたが、予約量は昨年時点で国営電力会社HEPと政府系石油大手INA(インドゥストゥリヤ・ナフテ)などによる5億2,000万立方メートルにとどまっていた。

LNGクロアチアによるとパワーグローブの契約量は、2020年10月から25年9月までの5年間は4億6,800万立方メートルで、それに続く30年9月までの5年間が6億2,400万立方メートル、35年9月までの5年間が9億3,600万立方メートルとなる。これにより同ターミナルの予約済みの処理容量は、2020年から21年までの1年間が18億7,800万立方メートルで、21年から22年と、22年から23年が各25億4,000万立方メートル、23年から24年及び24年から25年が各20億立方メートル、25年から26年及び26年から27年が各21億5,700万立方メートル、27年から30年が11億1,430万立法メートルとなる。

LNGクロアチアは今年の5月までに、スイスのガス事業者METグループ傘下のMETクロアチア・エナジートレードと、ハンガリーのエネルギー企業MVMグループ傘下のMFGKクロアチアが同ターミナルの使用を予約したことを明らかにしていた。

クルク島のプロジェクトでは海上に貯蔵施設と気化施設を設置し、陸上のパイプラインにガスを供給する予定。同国のパイプラインはスロベニア、イタリア、ハンガリー、セルビア及びモンテネグロと接続されている。

同ターミナルの総工費は2億3,360万ユーロに上る。欧州委員会は同事業を欧州連合(EU)の共通利益プロジェクトの1つと位置付け、昨年7月に1億140万ユーロを助成することを決定している。

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