EUが中国に香港問題への懸念表明、投資協定では補助金の透明性要求

欧州連合(EU)と中国は6月22日、テレビ会議型式で首脳会議を行い、EU側は新型コロナウイルス対応などで協調する姿勢を示す一方、中国が香港での反政府的な動きを取り締まる「香港国家安全維持法案」に懸念を表明した。投資協定については早期妥結に向け、中国側に自国企業に対する補助金問題を解決するよう求めた。

EU側はミシェルEU大統領とフォンデアライエン欧州委員長が出席。中国からは習近平国家主席と李克強首相が参加した。当初は9月にドイツで首脳会議を開く予定だったが、新型コロナの影響で延期が決まり、最終的にテレビ会議型式での開催となった。

フォンデアライエン氏は会議後の記者会見で「戦略上、EUと中国の関係は極めて重要だが、非常に難しい問題も抱えている」と述べ、中国はパートナーであると同時にライバルでもあると指摘した。2014年から続いている投資協定交渉に関しては、「妥結に向けて中国側のさらなる熱意が必要だ」と発言。中国政府が自国企業に巨額の補助金を支給し、EU域内での買収や投資を後押ししている現状に触れ、「補助金の透明性を確保する必要がある」と述べた。

また、ミシェル氏は全国人民代表大会で月内に可決される公算が大きい香港国家安全維持法案について、「独立した司法制度の下で保障された香港の人権と自由が危機にさらされている」と非難。「EUにとって人権は交渉の余地のない問題だ」と述べ、先進7カ国(G7)と連携して対応する姿勢を示した。

一方、李氏は中国国営テレビを通じ、中国とEUは新型コロナのワクチン開発などで協力体制を強化することで一致したと表明。さらに「EUが中国に対する輸出規制を緩和することを希望する」と述べ、米国に同調して中国への圧力を強めることがないよう求めた。

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