ポーランド大統領選挙、決選投票へ

ポーランドで6月28日行われた大統領選挙は、現職のドゥダ候補(48)が最多票を得たものの過半数に及ばず、7月12日に決選投票が実施されることになった。ポーランドの大統領は法案拒否権を有し、ドゥダ候補が続投できるかどうかは与党・「法と正義(PiS)」政権の運営に大きな影響力を持つ。また、欧州連合(EU)加盟国に広がる権威主義化の流れを占う上でも、今回の選挙結果に注目が集まる。

選挙区の99.8%の開票結果を集計した得票率は、ドゥダ候補が43.7%で1位。中道右派の野党・市民連合(KO)のチャスコフスキ候補(48)が30.3%で2位につけた。PiSによる現金給付型の福祉政策の人気が高く、カトリックの保守的価値観が重視される中小都市・村落でドゥダ候補が票を集めた一方、ワルシャワやグダンスク、クラクフなど国際的な大都市ではチャスコフスキ候補が最多票を得た。投票率は新型コロナウイルスの流行にも関わらず64%の高率を記録。2015年の前回選挙の49%を大きく上回った。

決選投票は、他の候補の支持票が誰に流れるかが結果を左右しそうだ。無所属のホウォフニャ(Holownia)候補(得票率:13.9%)は「自分はドゥダ候補には投票しない」と明言したうえで、「チャスコフスキ候補と会談し、同候補が我々の公約の主要な点を支持するかどうかをただす。支持者はその結果を踏まえて誰に投票するか判断してほしい」と話した。極右大衆迎合主義・自由独立連盟(KWiN)のボザク候補(得票率:6.8%)も「支持者に特定候補への投票は呼びかけない」としている。

大統領選は当初、5月10日に予定されていた。PiSはドゥダ候補の高支持率を背景に、新型コロナによるロックダウン(都市封鎖)にもかかわらず選挙を強行しようとした。しかし、連立与党が反対に回ったためやむを得ず延期した。

ワルシャワ市長を務めるチャスコフスキ候補は、延期決定後になって候補に指名された。4月、5月の世論調査ではドゥダ候補が第1回投票で過半数を獲得できる見通しだったが、短期間で反ドゥダ層の集票に成功した格好だ。

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