新型コロナウイルスの流行でルーマニアの自動車産業が大きな打撃を受けている。商用車販売では見通しが比較的明るいものの、景気の悪化で需要が縮小しており、雇用削減が継続しそうだ。同産業はルーマニアの重要産業の一つで、民間としては業界従事者数が最大。購買力の後退で他の産業にも波紋が広がるのは避けられない。
ルーマニア自動車製造・輸入事業者連合会(APIA)によると、今年上半期の乗用車新規登録台数は4万8,980台と、前年同期を30.7%下回った。商用車も9,934台と36.4%後退した。自動車全体では30.5%減の15万412台だった。
ルーマニア自動車業界では以前から雇用を削減する企業が出始めていた。今月の受注残高はまだコロナ危機前の水準に回復しておらず、人減らしの傾向が強まるのは避けられなさそうだ。
一方、外資系部品メーカーは引き続き、ルーマニアでの研究開発(R&D)を熱心に進めている。独コンチネンタルは人工知能(AI)分野に追加投資する計画を進めており、ティミショアラ拠点を拡張中だ。独ボッシュもクルジュ・ナポカの研究拠点で増員を予定する。同社の主な開発テーマは自動運転・エネルギー供給だ。