ポーランド南東部のポドカルパツキエ県で航空産業の誘致が進んでいる。同地のジェシュフ・ヤションカ空港近郊にあるテクノロジーパーク「アエロポリス」を中核に関連産業のクラスターを形成しており、欧米の航空機および部品メーカー大手が進出しているほか、スタートアップ企業も居を構える。政府も国営企業が持つ航空技術関連施設を空港に隣接して設置するなど後押しする構えで、同地を「航空バレー」として売り出している。
アエロポリスはポドカルパツキエ県中部のジェシカに位置する。200ヘクタールの広さがあり、現在は50社が入居して7,000人を雇用している。同テクノロジーパークを管理するジェショフ地域開発公社によると、同地には教育水準の高い大学や職業学校が多く、優秀な人材を見つけやすいという。
さらに、設立間もない事業の育成を図るインキュベーション施設に50社以上が入居している。スタートアップ系が多く、80%がIT関連だ。スタートアップは同地の航空技術関連企業と協業することができ、米ボーイング、独シーメンスのほか航空エンジン大手の米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)や独MTUアエロ・エンジンズなどから出資を受けている。
ジェシュフ・ヤションカ空港側でも今後、同国の国営航空産業グループ、ポルスカ・グルパ・ロトニツァ(PGL)と協力して航空関連機器に関する技術開発と保守点検を強化する方針だ。すでに格納庫に隣接してPGL傘下の航空会社LOTの技術センターが設置されている。
同国では航空分野への投資が増えている。国営空港管理会社、パストボエ・ポルティ・ロトニツェ(PPL)は6月初め、中東部マゾフシェ県にあるラドム空港を4,500万ユーロかけて改修するための入札を公告した。PPLのこれまでの投資残高は9,700万ユーロに上る。