ポーランドで製造業の国内回帰が進んでいる。同国の工業団地の開発事業者によると、製造業はこれまでアジアに大きく依存してきたが、新型コロナウイルスの流行を機に消費者により近い欧州での生産に目を向け始めている。政府もコロナの影響による景気の低迷から経済を回復せるため欧州での投資を増やすよう求めているほか、欧州に生産移管する必要性を訴えている。
現地紙『ジェチュポスポリタ』によると、製造業の倉庫需要は増加する傾向にある。産業用地の開発大手パナットーニ・ヨーロッパのドブルツキ最高経営責任者(CEO)は、製造業がアジアへの依存過多を見直し、消費地により近い場所に生産を移していると話す。同社によると、ポーランドの工業用地の需要は今年1-3月期に増加し、新型コロナの流行の只中に合った4-6月期もその傾向は変わらないという。
ポーランド政府も欧州への生産回帰を促している。ドゥダ大統領は今年5月、コロナ危機によって生じた欧州連合(EU)全体における景気の低迷は過去最悪のものだと述べ、欧州は今後の発展に向け大規模投資を行うべきだと訴えた。また危機時にサプライチェーンの寸断により製品不足に陥るような事態を避けるため、アジアなどに生産を移すこれまでの政策を見直し、欧州が「巨大な製造基地」になるべきだと主張した。
同国のモラヴィエツキ首相も、欧州は「自己を再創造」し、様々な理由で海外に移管されている産業や事業部門を取り戻すべきだと述べている。