欧州証券市場機構(ESMA)は7月28日、2021年2月に予定している「証券集中・保管機関規則(CSDR)」におけるバイイン規制の導入を1年間延期する方向で検討していることを明らかにした。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、新規制の導入準備が遅れているとして、欧州委員会から延期が要請されたため。状況を細かく分析して9月までに最終的な方針を決める。
バイイン規制は、債券などの取引にあたり決済期日に証券受渡の不履行が発生した際、買い手の請求により、市場価格での対象債権や同種の債券などの強制買付を義務づけるルール。現在は証券受渡不履行が生じた際、市場参加者の間で非公式に決済が行われている。
当初は2020年11月にバイイン規制が導入されるはずだったが、ITシステムの整備が遅れているとの理由でESMAが延期を提案。施行日が21年2月に延期された経緯がある。
ESMAは「新型コロナの影響で、新ルールの導入準備と証券保管振替機関(CSD)によるITシステムの整備に影響が出ていることに加え、欧州委から延期の要請があったため、バイイン規制の施行日を再び遅らせる方向で検討している」と説明した。