ケンブリッジ大がコロナワクチン開発に参戦、秋にも治験開始へ

英ケンブリッジ大学は26日、新型コロナウイルスのワクチン開発に英政府から190万ポンド(約2億6,500万円)の資金提供を受けたことを明らかにし、今秋にも臨床試験(治験)を開始すると発表した。世界で30種類を超える新型コロナワクチンの治験が行われており、英国では製薬大手アストラゼネカとオックスフォード大学が共同開発中のワクチンが最終段階の第3相試験に入っている。感染沈静化の見通しが立たない中、ケンブリッジ大も早期実用化を目指して開発を急ぐ。

ケンブリッジ大で治験を行うのは、同大ウイルス性人獣共通感染症研究所のジョナサン・ヒーニー所長が2017年に立ち上げたベンチャー企業DIOSynVaxが開発を進めているDNAワクチン。「DIOS-CoVax2」と名づけられた同ワクチンは、これまでに解明された全てのコロナウイルスの遺伝子配列を用いることで免疫反応を改善させる手法を採用しており、正確にターゲットを定めて過剰な炎症を引き起こす副反応を防ぐ効果が見込まれる。

ケンブリッジ大によると、DIOS-CoVax2は粉末状で凍結乾燥され、冷蔵せずに保管することが可能。このため低コストでワクチンを製造・流通させることができ、低所得国へも供給しやすくなる。

ヒーニー氏は「研究チームはワクチンによる免疫反応を正しい方向に導くため、ターゲットとなるウイルスの弱点を探している。最終的には新型コロナウイルスだけでなく、動物から人間に感染する可能性のある他のコロナウイルスからも防御するワクチンの開発を目指している」と述べた。

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