プラグインハイブリッドの優遇見直しへ、CO2排出削減効果が従来の想定より小さく

ドイツのアンドレアス・ショイアー交通相は9日、プラグインハイブリッド車(PHV)に対する購入・税制面での助成策を見直す考えを表明した。二酸化炭素(CO2)の排出削減効果がこれまで想定されていたよりも小さいことが、各種の調査で明らかになっているためで、「充電ケーブルが良心のための単なる象徴的な添え物となるのではなく、この技術から最大限の(CO2削減)効果を引き出すものになるよう、助成と税優遇策を策定しなければならない」と明言した。どのような変更をいつから加えるかについては現時点で決めていない。

PHVは電動モードで50~70キロメートル程度、走行できる。このため通勤に用いるだけであれば、石油系燃料を使わずに走行でき、CO2の排出を大幅に削減できる。

だが、最近の調査では総走行距離に占める電動走行の割合が20%未満であることが判明している。環境にやさしいモビリティの実現に向けた政府諮問機関、「モビリティの将来の国家プラットホーム(NPM)」の小委員会はこれを受けて、助成策の見直しを政府に促した。

NPMのメンバーには政財界と環境保護団体の代表が加わっている。このため、どのような見直しを行うべきかで委員会メンバーの見解は異なるものの、車載コンピューターのデータ解析などを通して走行の実態を詳しく調べることで意見が一致した。環境保護団体BUNDは、PHVの購入補助金は今後、実際に電動走行した距離に応じて支給されるべきだとしている。

PHVは社用車として使われることが多い中型・大型車の販売比率の高いドイツの自動車メーカーがCO2の排出量を引き下げるうえで大きな意味を持つ。ショイアー交通相はこれまで、同国自動車メーカーの利害を配慮した政策を展開してきたことから、助成策の見直しでも国内メーカーに不利にならないようにするとみられる。

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