30年の温室効果ガス削減目標、12月に再協議へ

EU加盟国は15日の首脳会議で、2030年の温室効果ガス削減目標について協議したが、今回は数値目標の決定を見送り、12月に再協議することで合意した。年内の最終合意を目指す。

EUは現在、域内の温室効果ガス排出量を30年までに1990年比で少なくとも40%削減するとの目標を掲げているが、欧州委員会は50年に域内で排出される温室効果ガスを実質ゼロにするカーボンニュートラル(気候中立)を実現するため、数値目標を「少なくとも55%削減」に引き上げる必要があると主張している。現時点でドイツ、フランス、スペインなど加盟国の約半数が欧州委の提案に支持を表明しているが、化石燃料への依存度が高いポーランドなど東欧諸国は急激なエネルギー転換に伴うコスト負担を懸念しており、削減目標の引き上げに難色を示している。

一方、欧州議会は今月初めに「欧州気候法」の修正案を採択する際、30年までに域内の温室効果ガスを90年比で60%削減とするとの目標を盛り込んだ。加盟国間で合意が成立した後は、より野心的な目標を掲げる欧州議会との交渉が始まることになる。

首脳会議では、各国が3つの数値目標についてさらに細かく検討できるよう、協議を来月に持ち越すことで合意した。ポーランドが新たな削減目標の影響評価が完了するまで、結論を出すことはできないなどと主張したため。このほか加盟国は国ごとではなく、EU全体で削減目標の達成を目指す方針を確認した。

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