テスラ―電池製造装置の独社買収―

電気自動車(EV)大手の米テスラがドイツの電池製造装置メーカー、ATWを買収する。dpa通信が独カルテル庁の確認を得た情報として報じたもので、同庁は買収にゴーサインを出した。買収金額は不明。テスラはATWを吸収合併する。

ATWはカナダ企業ATSオートメーション・ツーリング・システムの子会社。新型コロナ危機で受注が大量にキャンセルされたことから、ATSはATWの清算を9月半ばに決定した。テスラは独東部のグリュンハイデに工場を建設し、EVと電動パワートレイン、電池を生産する計画のため、ATWに目を付けたもようだ。

ATWは独西部のノイヴィートに本社を置く企業。従業員数は210人。独自動車大手のBMW、ダイムラー、フォルクスワーゲン(VW)に製品を供給しているものの、これらドイツの顧客メーカーはATWの救済に名乗りを上げなかった。

テスラは2017年にも自動製造システム(AMS)の有力メーカーである独グローマン・エンジニアリング(現テスラ・グローマン・オートメーション)を完全買収した。テスラは当時、生産規模を短期間で大幅に拡大しようとしていたことから、それに必要な技術・ノウハウを獲得するためにグローマンを手に入れた。

テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はグローマンの買収後、競合のBMWやダイムラーへの製品供給停止を創業者のクラウス・グローマン氏に命じた。テスラは垂直統合志向が強いことから、ATWでも同様の措置を取る可能性が高いとみられている。

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