エストニア国営電力会社エースティ・エネルギアは10月27日、再生可能エネルギーや蓄電池、電気自動車(EV)をネットワークで制御して運用する「仮想発電所(VPP)」を稼働すると発表した。分散電源を束ねて運用することでコストを低下させるとともに、再可エネの利用を伸ばす狙いがある。
VPPは需要家の設備(暖房・換気設備、電動車、ヒートポンプなど)とシステムをインターネットで接続し、電力市場の動向と電力網の稼働状況をリアルタイムで観察する。そのうえで、需要家の定めた条件の下、電力網を十分に活用しながら、利益を最大化できる形で各設備を制御する。需要家はVPPから利益還元を受けるため、電力料金を年間で最大15%低減できるという。 エースティ・エネルギアではまず、メーカーなどの産業需要家に対象を絞り、VPPへの参加を募る。その後は商業施設やオフィスビル、一般世帯などにも対象を広げる計画だ。 エースティ・エネルギアにとっては、バックアップ電源をVPPに頼ることで、従来型のバックアップ用発電設備に対する投資を削減できるメリットがある。また、天候などに発電設備の出力が大きく左右される再可エネの導入も加速できる。