英損害保険大手のRSAインシュアランス・グループは18日、カナダとデンマークの保険会社による買収で合意したと発表した。買収額は72億ポンド(約9,900億円)で、今年の欧州金融業界での買収としては最大級の規模となる。2021年4~6月期の買収手続き完了を見込んでいる。
買収するのはカナダのインタクト・ファイナンシャルとデンマークのトリグ。1株当たりの買い取り価格は6.85ポンドで、買収提案を行うと発表した5日の前日の終値に51%を上乗せした水準となる。
RSAは300年以上前に設立された英国有数の歴史を持つ損保会社。世界の100カ国・地域以上で事業を展開してきた。2013年に発覚したアイルランド部門の不正会計問題をきっかけに経営が悪化し、海外事業の多くを売却して財務改善に努めてきたが、新型コロナウイルス関連の保険金支払いが増え、経営が一層厳しくなったことから、2社の買収提案を受け入れたとみられる。同社は15年にチューリッヒ・インシュアランスによる買収が決まりかけたが、破談となった経緯がある。
トリグはRSAのスウェーデン、ノルウェー事業を42億ポンドで取得し、インタクトは英国やカナダなど残る国際部門を30億で取得する。デンマーク事業は両社の共同保有となる。