メルセデス・ベンツ―炭素中立未達の企業を調達先から除外へ―

独ダイムラーの乗用車子会社メルセデス・ベンツ(シュツットガルト)は7日、二酸化炭素(CO2)の排出量を差し引きでゼロにする炭素中立(カーボンニュートラル)を、サプライチェーン全体で実現するとの方針を発表した。炭素中立を2039年までに達成するという昨年打ち出した目標を実現するためには同社だけでなく、原料採掘までさかのぼって調達部品のCO2排出を実質ゼロに抑える必要があることから、サプライヤーにも協力を求める。プレスリリースには「遅くとも2039年以降、メルセデス・ベンツ工場の門を通過することが許されるはバリューチェーンの全段階で炭素中立な生産材料に限られる」との一文が明記されており、達成できない部品メーカーは調達先から排除されることになる。

電気自動車(EV)などの電動車は走行時にCO2を排出しない、あるいは排出量が少ない。だが、部品も含めた全製造工程で発生するCO2の量は内燃機関車の2倍と極めて多い。このため、電動車のカーボンフットプリント(原料採掘から生産、廃車、リサイクルに至るライフサイクル全体のCO2排出量)を改善するためには、ライフサイクル全体でCO2を実質的に排出しない仕組みを作る必要がある。

メルセデスによると、サプライヤー2,000社のうち半数は炭素中立の実現を約束する文書に署名した。これらの企業は今後、CO2排出量を可能な限り抑制することを義務付けられる。どうしても達成できない分については植林などの相殺プロジェクトを通して同排出量をゼロまで引き下げることになる。

同社は天然資源を節約するために、電動パワートレインに投入するリサイクル材料部品の比率を高めていく方針も打ち出した。その実現に向けてサプライヤーと協業するとしており、部品メーカーは再生材料の使用拡大を求められることになる。リサイクルしやすい材料とリサイクル技術のニーズはこれまで以上に高まりそうだ。

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