英国とトルコの両政府は12月29日、自由貿易協定(FTA)に署名した。新協定はEUとトルコが結んでいる関税同盟に沿った内容となっており、英国はEUからの完全離脱後も従来と同様の条件でトルコとの貿易を継続することができる。
英国のトラス国際貿易相とトルコのペキジャン貿易相がビデオ会議でFTAに署名した。新協定は2021年1月1日付で発効する。英政府は声明で、トルコとのFTA締結は「英国の自動車産業や製造業、鉄鋼業にとって大きな勝利」であり、引き続き無関税の通商と両国間の重要なサプライチェーンを維持できると強調。そのうえで、両国は将来的により野心的な協定の締結を目指す方針で一致したことを明らかにした。
英国際貿易省によると、英国とトルコの2019年の貿易額は186億ポンド(約2兆6,260億円)。英国にとってトルコはドイツに次いで2番目に大きな輸出先で、約7,600の英企業が自動車・部品や機械類などを輸出している。一方、トルコは英国に白物家電や繊維製品などを輸出している。英国とEUは12月24日に新たなFTAなど将来関係を巡る交渉で合意に達し、これを受けて英国はEUと関税同盟の関係にあるトルコと個別に協定を結ぶことが可能になった。
トラス氏は「トルコとの新協定はビジネスに不可欠な確実性をもたらし、英国の製造業や自動車産業などで何千もの雇用を支える。これはダイナミックな発展を遂げている経済圏との近代的な貿易協定のネットワークの中心に英国を据えるという計画の一環であり、貿易と投資の拡大が英国の経済成長を牽引し、新型コロナウイルスからの復興を後押ししてくれるだろう」と述べた。
一方、ベトナム商工省は12月26日、同国と英国の両政府がFTAに署名したと発表した。ベトナムはEUとの間で99%の関税撤廃を柱とするFTAを結んでいるが、12月上旬にEU・ベトナムFTAに代わる英国との新協定を巡る交渉で合意。来年1月1日の発効を目指して双方で必要な手続きが進められていた。