自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)が13日発表した2020年のグループ販売台数は前年比15.2%減の930万5,400台となり、2012年以来の低水準を記録した。1,000万台を割り込むのは5年ぶり。新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の直撃を受けた格好で、すべての地域で販売が減少した。
減少幅が最も大きかったのは足元の西欧で、21.6%減の293万9,900台へと落ち込んだ。中東欧(15.6%減の67万7,000台)、北米(17.4%減の78万5,800台)、南米(19.5%減の48万9,700台)、中東・アフリカ(12.3%減の29万700台)も2ケタ減となった。最大市場の中国は9.1%減の384万9,000台、中国を除くアジア太平洋は9.0%減の27万3,200台と減少率が比較的小さい。グループ世界販売に占める中国の割合は41.4%で、前年の38.6%から一段と高まった。
ブランド別の実績をみると、主力のVWブランド乗用車は15.1%減の532万8,000台へと後退した。大衆ブランドは減少幅が大きく、シュコダ(19.1%減の100万4,800台)とセアト(25.6%減の42万7,000台)も2ケタ減となった。高級車はポルシェが3.1%減の27万2,200台、アウディが8.3%減の169万2,800台だった。商用車はVWブランド商用車が24.4%減の37万1,700台、MANが17.3%減の11万8,100台、スカニアが27.5%減の7万2,100台となっている。
電動車の販売は極めて好調で、電気自動車(EV)は214%増の23万1,600台、プラグインハイブリッド車(PHV)も175%増の19万500台と3ケタ台の伸びを記録した。
世界販売に占める電動車の割合は4.5%に上った。西欧市場に限ると前年の1.9%から10.5%へと5倍以上に拡大している。20年に厳格化された欧州連合(EU)の二酸化炭素(CO2)排出規制をクリアできたかどうかは明らかにしていない。
20年12月のグループ販売台数は99万7,600台で、前年同月を3.2%下回った。中国が10.2%減、中国以外のアジア太平洋が12.1%減、中東欧が10.1%減と大きく後退したことが響いた。西欧は7.7%増、北米は9.0%増だった。