電機業界受注4カ月連続増、稼働率は通常水準の82%に

ドイツ電気電子工業会(ZVEI)が9日発表した独業界の12月の新規受注高は前年同月比13.0%増と2ケタ台の伸びを記録した。増加は4カ月連続。国内受注が23.7%増、ユーロ圏(ドイツを除く)が19.8%増と大きく拡大。ユーロ圏外は1.2%落ち込んだ。

2020年全体の新規受注高は前年を3.3%下回った。新型コロナ危機が響いた格好。国内は1.9%増えたものの、ユーロ圏は6.7%、ユーロ圏外も7.6%縮小した。

12月の実質生産高は前年同月比4.5%増となり、2カ月連続で拡大した。20年全体では前年を6.1%割り込んだ。21年は5%の増加を見込んでいる。

1月(第1四半期初頭)の工場稼働率は82.0%で、10月(第4四半期初頭)の80.8%を1.2ポイント上回った。ZVEIは通常の水準を回復したとしている。

1月の生産計画(先行き3カ月)で「拡大」を予定する企業の割合は前月の27.4%から35.0%へと増加した。「縮小」は13.3%から6.6%に減少しており、拡大の割合から縮小の割合を引いた数(ディフュージョン・インデックス=DI、無効回答を除いたベースで算出)は前月の14.5ポイントから29.1ポイントへと大きく上昇した。同DIがプラスの領域に入るのは5カ月連続。

同DIが特に高かった部門は配線システムで55.3ポイントに達した。これに電子部品が46.8ポイント、計測機器・プロセスオートメーションが41.1ポイント、電気駆動装置が38.3ポイントで続いた。マイナスに沈んだ部門はなく、最低は鉄道車両と娯楽家電の0ポイントだった。両部門ともすべての企業が「横ばい」と回答している。

12月の業界売上高は前年同月比7.2%増の165億ユーロとなり、3カ月連続で拡大した。地域別の内訳は国内が6.4%増、ユーロ圏が15.6%増、ユーロ圏外が4.2%増だった。

20年の売上高1,805億ユーロで、前年を5.1%割り込んだ。国内が4.7%減の859億ユーロ、ユーロ圏が4.7%減の349億ユーロ、ユーロ圏外が5.8%減の597億ユーロとなっている。

1月の業界景況感指数(現状判断指数と期待指数の中央値)は前月の12.2から21.4へと上昇し、4カ月連続でプラスの領域を保った。改善は9カ月連続。現状判断指数(現状を「良い」とする回答から「悪い」とする回答を引いた数=DI)が3.6ポイントから12.8ポイント、期待指数(今後6カ月の見通しが「良い」とする回答から「悪い」とする回答を引いた数=DI)が21.2ポイントから30.4ポイントへとともに大きく上昇した。

景況感指数は計測機器・プロセスオートメーション(40.8)、配線システム(40.7)、電子部品(28.6)、オートメーション(25.1)、娯楽家電(24.9)、ケーブル(23.9)、白物家電(21.9)で平均の21.4を上回った。白物家電は巣ごもり消費で現状判断が66.2ポイントと高かったものの、期待指数はマイナス15.0ポイントとなっており、需要の減少を見込む企業が多いもようだ。

鉄道車両(-26.8)、通信機器(-10.8)、照明(-0.6)の3部門は景況感指数がこれまでに引き続きマイナスの領域にとどまった。現状判断が振るわないことが響いた。

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