独軍需・自動車部品大手のラインメタルは10日、ハンガリー国防省から新型装甲戦闘車「リンクス(Lynx)KF41」218両を受注したと発表した。契約には支援車両9両とスペアパーツの供給、メンテナンスサービス、シミュレーターや研修などの提供が含まれる。取引額は20億ユーロを超える。
ラインメタルは先月、ハンガリー政府とリンクス製造の合弁会社を設立することで合意した。今回の受注では、第1段階として46両と支援車両をドイツで製造し、2023年初頭までに納入。第2段階で残り172両を同合弁会社が製造する。
リンクスが北大西洋条約機構(NATO)および欧州連合(EU)加盟国で採用されるのは今回が初めて。ハンガリーなどNATO加盟国の多くは防衛支出目標(対国内総生産=GDP比で2%)の達成に向けて装備の近代化を推進している。ラインメタルはリンクスの受注実績をてこに、拡大が見込まれる防衛装備品の需要を取り込みたい意向だ。同社はすでにチェコとオーストラリアでもリンクスで調達入札に参加している。
ラインメタルはコロナ禍で自動車部門が振るわない中、軍需部門は上期の営業利益(EBIT)が前年同期比75%増の1億2,200万ユーロに拡大した。同社のパッペルガー社長が「危機下の安定の錨」だと表現する同部門は通年で6~7%の増収が見込まれている。