チェコ政府、ロックダウン再開には慎重

新型コロナウイルスの感染者が急増するチェコで9日、室内でのマスク着用義務化や首都プラハの飲食店の営業時間制限などの感染抑止措置が実施された。政府は経済への配慮から都市封鎖(ロックダウン)の再開には慎重な姿勢で、小さな対策の積み重ねで危機を乗り切りたい考えだ。

カレル・ハヴリーチェク産業貿易相は「経済や観光業に多大な影響を与える措置(ロックダウン)は計画していない。感染が広がっている事実を軽視しているわけではなく、地域ごとに対応を試みている」と述べた。チェコ経済は2020年4~6月期に前年同期比11%のマイナス成長となっており、これ以上の打撃を避けたい意向とみられる。

チェコは今春、新型コロナ対策としていち早く学校閉鎖、小売店の営業停止、移動の自由の制限、マスク着用義務化などの措置を実行した。これが奏功し、新型コロナでの死亡者数は他国に比べて少なかった。

しかし、夏の制限緩和以来、新規感染者数が増え続け、8月31日から9月6日の新規感染者数は1日当たり797人と、3月のピーク(377人)の2倍以上に上った。その後も増加のペースは緩まず、7~13日は同1,092人に増えている。

バビシュ首相は感染者の増加を受けて、全ての感染者について実施している接触者の検出・追跡作業(トラッキング)を、症状が比較的重い感染者に限定する可能性があると発言した。「トラッキングを強化すべき」と提言している世界保健機関(WHO)に対してはツイッターで「WHOの初動の遅れで新型コロナの感染が広まった」として「口出し無用」と拒否的な態度を示した。

上部へスクロール