エストニアのラタス首相と世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は6日、WHOのデジタル化プロジェクトにエストニアの起業家・研究者が参加することで合意し、覚書を交わした。デジタル予防接種証明書の開発などが対象となる。情報管理の精度を高め、国境を越えた予防接種データ共有に役立てる狙い。他の保健データへの応用も視野に入れている。
ラタス首相は、「(新型コロナの)パンデミックという世界的な危機において、WHOのような中立的機関の重要性が広く認識されるようになった」と指摘。WHOを中心に、デジタル技術を応用して健康を守る取り組みを進めていく意義を強調した。
そのうえで、まずは予防接種歴を記録する「黄色い予防接種カード」のデジタル化を足掛かりに、さまざまな保健データをWHO及び加盟国が共有できるよう、エストニアの経験を役立てたいと抱負を語った。
テドロス事務局長は、「eヘルス」を含む電子政府プロジェクトでエストニアが示した実績を高く評価し、そのノウハウを学べるようデジタル保健技術顧問グループに同国を迎えたと述べた。そのうえで、エストニア電子政府のベースとなる情報連携プラットフォーム「Xロード」を、WHOのデジタルサービス構築に応用する可能性に期待感を示した。