独フォルクスワーゲン(VW)のチェコ子会社であるシュコダ自動車は7日、人工知能(AI)を搭載したアプリで車両の発する音を分析し、予知保全につなげる試みを開始したと発表した。「サウンドアナライザー」と呼ばれる同アプリは走行中の車両の音を携帯端末により記録・比較するもので、音から車両の様々な状態を判断することができる。シュコダは、現在ディーラーによって試験的に運用されている同アプリを活用してメンテナンス作業を容易にするとともに、顧客満足度を引き上げる方針だ。
「サウンドアナライザー」はニューラルネットワーク(NN)のアルゴリズムを通して車両の発する音を解析し、車両各部の部品の状態を正確かつ迅速に把握することを可能にする。同アプリのプログラムは車両の使用歴など、個々の車両に特有の様々な指標をデータに基づき分析することができる。このためエンジニアはスマートフォンやタブレットから正確な診断を下せるようになる。
走行中にスマートフォンで収録された音は過去の音と比較され、車両の状態について具体的な判断の材料となる。操縦システム、エアコン、ギアボックス内のクラッチ音など10パターンの音を90%以上の確率で認識することができるという。
同アプリは昨年以来、ドイツ、ロシア、フランスなどを含む14カ国・245のディーラーによって試験的に利用されている。収集された情報はAIによる学習を経たのち、プログラムの開発現場にフィードバックされる予定だ。
同社は2025年に向けた成長戦略の中で、AIを重視しデジタル化で活用していく方針を示していた。