欧州委員会のジェンティローニ委員(経済担当)は5日、新型コロナウイルスの感染拡大による経済危機に対応するため、欧州連合(EU)加盟国の財政赤字を厳しく制限する財政規律の適用を一時的に停止する措置を2021年末まで継続すると発表した。これによって各国は財政赤字を気にせずに21年度予算案を編成し、積極的に景気対策を講じることができるようになる。
EUの財政規律を定めた安定成長協定は、各国に毎年の財政赤字を国内総生産(GDP)比3%以内に抑えることなどを義務付けている。しかし、欧州委員会は景気悪化で税収の大幅な落ち込みが予想される中、各国が新型コロナ危機に十分に対応できないとして、3月に財政規律の適用を一時的に停止することを決めた。
ユーロ圏19カ国は9月の非公式財務相会合で、同措置を当面は継続する必要性を確認したが、いつまで続けるかは決まっていなかった。5日に開かれたユーロ圏財務相会合でジェンティローニ委員と同問題について協議し、2021年末まで継続することが決定した。
EUはギリシャに端を発した債務危機の再発を防止するため、ユーロ参加国の予算案を欧州委が事前に審査する制度を導入している。欧州委は21度予算案の提出期限である10月15日を前に、財政規律の適用停止延長を打ち出した。