プラハ西部のシュトドゥウキ地区にある床面積40平方メートル、築10年の分譲アパート。お値段は16万ユーロと安くないが、21人が見学に訪れた。プラハで住処を見つけるのは容易ではない。家賃が高いため、分譲住宅を選ぶ人が増えているためだ。需要の大きさから「資産運用」の対象として不動産を求める人も多い。あれよあれよという間に、相場は過去10年間で3倍に高騰した。
この住宅難の緩和に住宅貯蓄銀行ブジンカ(Burinka)が期待をかけるのが、コンクリート製の3Dプリント・ハウス「プウヴォック(原生動物、の意)」だ。純粋な「プリント時間」は22時間、すべての工程を経て家が出来上がるまでの工期は2カ月で済む。
床面積は43平方メートルの1LDK、バストイレ付で、エネルギー回収設備、水循環型シャワー、グリーンルーフ、飲用・生活用水のタンク、下水タンクを備える。それでも、量産体制に入れば建設費は1軒13万~15万ユーロと、従来工法の同じような新築住宅より4万ユーロ安い。もちろん、施工主のニーズでカスタマイズすることもできる。
しかし、プラハで不動産業を営むイェジ・カロウスさんは「家が高いのは土地が高いからだ」と冷めた顔だ。「地所が買える財力のある人は、建物にもお金をかける」と話す。どちらかというと、土壌汚染の懸念で利用の進まない工場跡地などのブラウンフィールドを再活用したり、建築基準を緩和したりすることで住宅用地を増やす方がよいという意見だ。