ロシアが小型通信衛星打ち上げを計画、高速インターネット通信実現に向け

ロシアが高速インターネット通信を実現するため通信衛星の打ち上げを計画している。同国のウェブ専門紙『East-West Digital News』(EWDN)がこのほど伝えた。国営宇宙開発企業ロスコスモスによると、同社は2024年から500基の多チャンネル衛星を打ち上げてインターネットによる高速通信を可能にしていく。特に今後の開拓が期待されている北極海航路における通信状況を改善する狙いだ。

EWDNによると、「スフェーラ」と呼ばれる同計画は、電気自動車(EV)大手テスラや宇宙開発事業会社スペースXのイーロン・マスク氏による複数の小型衛星を使ったインターネット通信プロジェクト「スターリンク」に類似したものとなる。

「スフェーラ」計画は2021年から開始される。同計画は2024年まで実施されるロシアの国家プログラム「デジタル経済」に含まれているものの、コロナウイルス対策や原油価格の下落により財政の先行きが不透明になっており、政府の予算承認が得られていない状況だ。一方、ロスコスモスのロゴジン社長によると、プーチン大統領に対し今年12月中に計画の最終案が提出される見通しとなっている。同大統領はプロジェクトの進捗状況に対し不満を示していたとされる。

同計画については多額の費用がかかることから一部には批判の声がある。軍事・産業委員会のアレクサンドル・イワノフ氏はメディアに対し、ロスコスモスが1兆5,000億ルーブル(約166億2,800万ユーロ)もの巨額予算を要求する予定だとしたうえで、計画は十分練られておらず正当化できないと批判した。

現地の経済系ウェブ紙『TheBell』によると、イーロン・マスク氏の「スターリンク」計画には100億ドルが必要になると予想されており、「スフェ-ラ」はその倍の費用がかかる見通しだ。(1RUB=1.36JPY)

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