チェコ議会、新所得税法を可決―被雇用者の税負担軽減

チェコ議会は11月20日、新所得税法案を可決した。社会保険料の雇用者負担分などを含む被雇用者の総所得に対して一律税率を課すという現行の課税方法が廃止され、被雇用者が直接享受する所得のみに課税する方法が導入されるため、被雇用者の税負担が大きく軽減される。新税法は上院の承認を受けてゼマン大統領が署名したうえで、2021年に施行される。

チェコは2008年、被雇用所得の課税基礎額として、被雇用者が受け取る給与、福利厚生費、その他手当に雇用者の社会保険料負担額を含めたいわゆる「スーパー額面所得」を導入した。それまで税率が4段階に分かれていたのを15%に一本化し課税手続きを簡便化するためだったが、実質税率は23.1%で税負担増となった。このため2010年以降、歴代政府が政策に廃止案を盛り込んできたものの、実現には至らなかった。

新規定によると、被雇用者月額所得が14万コルナ(5,312ユーロ)以上の場合は税率23%、同未満の場合は15%で課税される。現在の実質税率20.1%に対し、新課税方法により被雇用者の手取り給与額は数100~数1,000コルナ増になると予想される。

国家予算評議会の試算によると、同改正で2021年の税収は880億コルナ(33億ユーロ)減少する。議会が承認済みの来年度財政案は3,200億コルナ(1,220億ユーロ)の赤字を見込んでいるが、この減収で赤字拡大は避けられない。(1CZK=4.75JPY)

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