英政府がファイザー連合のワクチン承認、EUも月内に承認か

英政府は2日、米製薬大手ファイザーと独バイオ医薬品会社ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルス用ワクチンの緊急使用を承認した。十分な臨床試験(治験)を経て効果、安全性が確認されたコロナワクチンの使用承認は世界初。同ワクチンは欧州連合(EU)での使用承認を1日に申請しており、月内にも承認される見通し。新型コロナ感染拡大で大きな打撃を受けている欧州で、コロナ禍終息の光明がようやくみえてきた。

ファイザーとビオンテックのワクチンは治験で95%の効果が確認されている。英政府の承認により、8日にも国内で接種が開始される見込みだ。

このワクチンは約1カ月の間隔を空けて2回接種するタイプ。主にファイザーのベルギー工場で生産される。英政府は4,000回分を調達する契約を結んでいることから、2,000万人が接種を受けることができる。ただ、年内に調達できるのは発注の10%程度にとどまる見込みで、本格的な接種は年明けになる。政府は医療従事者、介護施設の入居者とスタッフ、高齢者を優先し、接種を開始する方針だ。

新型コロナのワクチンは、ロシアと中国で開発されたものが、それぞれの国で承認されている。しかし、どちらも最終段階の治験の結果を待たずに承認されており、効果と安全性が疑問視されている。正式な手続きを踏んで承認されたのは初めてだ。

一方、EUの欧州医薬品庁(EMA)は1日、ファイザー・ビオンテック連合と米モデルナから、新型コロナワクチンの承認申請を受けたと発表した。EUでのコロナワクチンの使用申請は初めてとなる。

どちらのワクチンも米国で使用承認を申請済み。EMAは両ワクチンについて、感染症の世界的流行などの緊急時に際して必要なワクチンや治療薬の承認手続きを迅速化する制度を適用し、試験データを順次審査する「逐次審査」を開始しており、通常より早期に承認する態勢を整えている。ファイザー連合のワクチンは12月29日、モデルナのワクチンは1月12日に承認の可否を判断する予定だ。EMAが承認を勧告すれば、EUの欧州委員会が数日以内に正式承認し、域内での接種が開始される。

EUはファイザー連合から最大3億回分、モデルナから同1億6,000万回分のワクチンを調達する契約を結んでいる。このほか英アストラゼネカ、仏サノフィと英グラクソ・スミスクライン(GSK)の連合、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)傘下のヤンセンファーマ、独キュアバックとも契約済みだ。

これらのうち、アストラゼネカがオックスフォード大学と共同開発しているワクチンは高い有効性が確認されたばかりで、EU、英国などでの早期承認の期待が高まっている。また、EMAは同日、ヤンセンファーマのワクチンも逐次審査を開始したと発表した。

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