ロシアのクレジットカード「ミール」、アップルペイで使用可能に

ロシア独自のクレジットカード「ミール(Mir)」が来月から米アップルの電子決済システム、アップルペイで使えるようになる。運営元の国家決済カードシステム(NPCS)が銀行・金融機関に送付した書簡で明らかにしたもので、詳細は追って明らかにするとしている。

ミールは系列システムのミールペイ、韓国サムスンのサムスンペイではすでに使用が可能だ。ミールペイは、ロシアで販売されるアンドロイドOSのスマホに組み込まれている。

アップルペイは2016年にロシアでサービスを開始。昨年の国別ユーザー数でロシアは米国に次いで世界2位の人気だったが、ミールの利用では遅れていた。

電子決済システムは、銀行・クレジットカードとスマホを組み合わせて、買い物時にスムーズに代金を支払える利便性が売りだ。加えて、コロナ禍のなかで衛生観念が高まり、非接触で決済できるという特長にも注目が集まっている。

ロシアでも独自の決済サービスを立ち上げる動きが出ており、昨夏には金融・テクノロジー大手の国営ズベル(旧ズベルバンク)が「ズベルペイ」をスタート。民間銀行最大手のティンコフ・バンクも独自サービス開始を予告している。IT大手ヤンデックスは非接触型決済サービスを準備中と報じられている。

「ミール」は2014年の欧米による対ロシア制裁で、米国のマスターカード、ビザがロシア金融機関の一部と取引を停止したのを機に開発された。日本のJCBカードのほか、米マエストロ(マスターカード)、中国・ユニオンペイ(銀聯)などと提携を結んでいる。NSPKによると、昨年のロシア・クレジットカード新規発行数に占めるミールの割合は30%、決済額に占める割合は24%に上った。

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