EU統計局ユーロスタットが2日に発表したユーロ圏の2月のインフレ率(速報値)は前年同月比0.9%で、前月と同水準の上げ幅となった。インフレ率がプラスとなるのは2カ月連続。ただ、原油価格上昇など一時的な要因によるもので、年末にも縮小に転じるとの見方が多い。(表参照)
分野別ではエネルギーが1.7%のマイナスとなったが、下げ幅は前月の4.2%から大きく縮小した。工業製品は1.0%、サービスは1.2%の幅で上昇した。
主要国はドイツが1.6%、イタリアが1.0%、フランスが0.7%のプラス。スペインは0.1%下落した。
ユーロ圏ではコロナ禍に伴う消費の停滞、原油価格の低迷などで、8月から5カ月連続でインフレ率がマイナスとなっていた。ここにきて物価が大きく持ち直しているのは、低迷していた原油価格が上昇に転じていることや、ドイツで付加価値税(VAT)減税が12月に終了したのが主因。当面は上昇が続き、数カ月後には欧州中央銀行(ECB)が目標値とする2.0%を超えると目されている。
しかし、物価の基調は依然として弱く、ECBが金融政策で重視する基礎インフレ率(価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いたインフレ率)は1.1%と、前月の1.4%から縮小した。年末頃には一時的要因の効果が薄れ、再び縮小に転じる可能性が高い。このため、市場ではECBが現行の金融緩和策を維持するとの見方が出ている。