ロシア移動通信最大手のMTSがモスクワで第5世代(5G)移動通信網の試験運用を開始した。本格的な市場導入に先駆け、人出の多い14カ所で最大1.5ギガビット秒の高速通信を提供し、インフラの性能とサービスの質を実地で検証する。個人向け5Gサービスの実用化は同国で初めて。ただ、専門家は、サービスの全国展開が早くて2024年になると予想する。
5Gサービスを使えるのは、周波数帯4.4~5.0ギガヘルツ(n79)に対応する機種(iPhone12、サムスン・ギャラクシーなど)を持つMTSの顧客だ。同社ではショートメッセージ(SMS)で参加を呼びかけることにしている。市内のゴーリキー公園、モスクワ大学、ショッピング街として知られるニコルスカヤ通り、娯楽複合施設の全ロシア博覧センター(VDNH)、スコルコボ・イノベーションセンターなど、人の集まる全14エリアでサービスを提供する。
MTSのアレクセイ・コルニャ最高経営責任者(CEO)は今回の実証実験について、「高画質のUHD動画や拡張/仮想現実(AR/VR)アプリ、クラウド・ゲーミングなど、通信遅延が生じない大容量通信を必要とする用途に使ってもらい、その快適さを顧客に味わってもらいたい」と狙いを話している。