欧州医薬品庁(EMA)は26日、新たに欧州連合(EU)域内の2つの工場で新型コロナウイルスワクチンを製造することを正式に承認した。域内でのワクチン供給量を増やし、遅れている接種を加速させる狙いだ。
承認されたのは、米ファイザーと共同でワクチンを開発した独ビオンテックのマールブルク(ドイツ)工場と、オランダのライデンにある英アストラゼネカ製ワクチンの生産拠点。
EMAの発表に合わせてビオンテックが出した声明によると、同社は今回正式に承認されたドイツの新工場で2月からワクチンを製造しており、4月後半から出荷を開始する予定。工場がフル稼働すれば年間10億回分の生産能力がある。
一方、ライデン工場では医薬品受託開発製造(CDMO)のハリックスがアストラゼネカ製ワクチンを製造している。同工場で製造されたワクチンに関しては、アストラゼネカが契約した量をEU側に供給できていないことを理由に、EUが英国への輸出を阻止していると報じられており、ワクチン供給を巡るEUと英国の対立の火種となっている。
欧州委員会のキリアキデス委員(保健衛生・食の安全担当)は「域内の生産能力を高めるうえで歓迎すべき一歩」と期待を示した。
EUは夏の終わりまでに成人の7割への接種を完了するとの目標を掲げている。しかし、供給不足のほか、血栓やその他の副反応への懸念から多くの国がアストラゼネカ製ワクチンの接種を一時停止した影響で、接種率は現時点で14%程度にとどまっている。