事業所委の共同決定権強化へ

ドイツ政府は3月31日の閣議で事業所委員会近代化法案を了承した。被用者の社内代表機関である事業所委員会の共同決定権を時代の変化を踏まえて拡大することが柱。法案は9月の連邦議会選挙前に可決される見通し。

事業所委員会は法律ないし業界労使の取り決めがない限りにおいて、事業所内の様々な案件について雇用者側と共同で決定する権利を持つ。共同決定権の対象は始業・終業時間、休憩時間、労災と職業病の予防策、新規採用・解雇など幅広い分野に及ぶ。

今回の法案では新たに、人工知能(AI)の導入も共同決定の対象にするルールが盛り込まれた。例えば従業員の新規採用に際してAIを利用する場合は事業所委の同意が必要となる。事業所委はそうした場合、必要に応じて社外の専門家の助言を受けることができる。

法案にはまた、在宅勤務やモバイル勤務を企業が導入する場合、勤務規則を共同決定しなければならないことも盛り込まれた。在宅勤務を導入するかどうかはこれまで同様、経営者が単独で決定できる。

このほか、事業所委員会の設立を計画する被用者を保護する規定が法案に盛り込まれた。事業所委設立を阻止したい経営者による報復解雇を阻止することが狙いだ。事業所委員を通常解雇(解雇予告期間を設定した解雇。即時解雇以外の解雇が該当する)の対象とすることはすでに禁止されており、このルールを事業所委の設立準備者にも拡大適用することになる。

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