欧州連合(EU)の欧州会計検査院(ECA)は13日、域内における電気自動車(EV)の充電インフラ整備の取り組みに関する報告書を公表した。欧州委員会はこれまでに「欧州グリーン・ディール」などの政策文書で、EV普及に向けた充電インフラ整備計画を発表してきた。ECAは規格統一に向けた動きなどを評価する一方、現時点で約22万5,000カ所の充電スタンドを2025年までに100万カ所に増やすとの目標を達成するため、EU全体で取り組みを強化する必要があると指摘した。
EUでは輸送部門が温室効果ガス排出量の約25%を占めており、50年までに排出実質ゼロの気候中立を実現するため、同部門で1990年比90%の排出削減を目標に掲げている。EVの普及が戦略の柱で、そのためには充電インフラの整備を加速させる必要がある。
ECAは優先的に取り組むべき課題として、まず加盟国間で充電設備の普及にばらつきがある点を指摘。加盟国は代替燃料インフラ指令に基づき、充電スタンドの設置目標を設定しているが、昨年9月時点で目標を達成しているのは12カ国にとどまっている。また、域内の充電スタンドの約70%がドイツ、フランス、オランダに集中しており、ECAは充電設備の設置を支援するためのEU予算が適切に分配されていないと指摘した。ECAはこのほか、充電スタンドでの決済システムが国によって異なる点なども改善すべき課題として挙げた。
そのうえで欧州委に対し、充電スタンドが特定の地域に集中しないよう、地理的条件を加味して整備計画を見直すことや、決済システムの統一を検討することなどを提言した。欧州委はこれを受け、国や地域によって異なる充電インフラへのニーズなども踏まえ、夏までに新たな整備計画をまとめる方針を示した。