ドイツのメルケル首相と国内16州の首相は26日のテレビ会議で、新型コロナウイルスに絡む政策を協議した。今回は各州の政策調整を話し合う従来の協議と異なり、ワクチン接種キャンペーンの今後の見通しと、接種完了者の取り扱いを論議。接種完了者については制限措置を緩和することを決めた。
同国ではこれまでに人口の23.4%が少なくとも1回の接種を受け、7.2%は2回目も受けて接種を完了した。接種完了者は感染リスクが低いことがロベルト・コッホ研究所(RKI)の調査で明らかになっていることから、これを踏まえて制限措置の緩和を決めた。対象者は買い物や理容・美容院の利用の際に簡易検査で陰性を証明する義務や、外国からの帰国の際に自主隔離する義務を免除される。新型コロナに感染した人で快復後6カ月以内の人は1度の接種を受ければ接種完了者と同等の扱いを受けることができる。マスク着用、社会的距離、衛生規制は引き続き適用する。
政府は今後、これらのルールを改正感染防止法の規定に基づき政令化。連邦議会と連邦参議院の承認を経て施行する。
接種キャンペーンは市民を年齢、重大な基礎疾患の有無、職業に応じて4グループに分けたうえで、優先順位を設けて展開している。年齢別では80歳以上が第1優先グループ、70歳以上が第2優先グループ、60歳以上が第3優先グループとなっており、60歳未満は順番の最後に回される。多くの州ではすでに第1・第2優先グループで少なくとも1回目の接種が終わった。第3優先グループも5月中に1回目の接種が終了する見通しだ。メルケル首相は会議後の記者会見で、遅くとも6月にはすべての希望者を対象に接種の予約受付を開始できるとの見通しを明らかにした。夏期が終了する9月下旬までに全希望者の接種を完了できるとしている。