フォルクスワーゲン―30年までに欧州で40%の排出削減―

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は4月29日、VWブランド乗用車の脱炭素戦略を発表した。二酸化炭素(CO2)の排出量を差し引きでゼロにする炭素中立を2050年までに実現するため、ライフサイクルアセスメント(LCA)ベースで車両1台当たりのCO2排出量をまずは欧州で30年までに40%削減する(18年比)。VWブランド乗用車のラルフ・ブラントシュテッター最高経営責任者(CEO)は「電動車攻勢は手始めに過ぎない。わが社は脱炭素を包括的に理解している。すなわち生産から使用、リサイクルまでを含めている」と明言した。

VWブランド乗用車は欧州工場の電力を現在すでに100%再生エネで賄っている。30年からはこれを中国以外の全世界に拡大する計画だ。

調達ではまず、CO2排出量が多い部品・部材で重点的に排出削減を図る。サプライヤーの選定に当たっては今後、CO2排出削減を主要基準とするとしており、カーボンフットプリント(事業で排出されるCO2の総量)の多い部品メーカーは取引先から排除されることになる。

電動車を使用する顧客に対しては自宅でも出先でも再生エネを供給する体制をすでに整えた。今後は電動車販売の増加に連動して再生エネの需要が急拡大することを踏まえ、欧州の再生エネ発電拡大を直接、支援していく。エネルギー大手RWEとの間では、RWEが独東部のトラム・ゲーテンで計画するメガソーラー設置プロジェクトをサポートすることを取り決めた。同メガソーラーの発電能力は年1億7,000万キロワット時。VWグループ乗用車は25年までに合わせて約7テラワット時の再生エネプロジェクトを支援する。

リサイクルに関しては車載電池の90%以上を資源として再利用する意向を表明した。

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