ドイツ連邦陸運局(KBA)が5日発表した4月の乗用車新車登録台数は前年同月比90.0%増の22万9,650台と急拡大した。増加は2カ月連続。比較対象の昨年4月は第1回目のロックダウン(都市封鎖)で需要が激減しており、今年4月はその反動で大きく伸びた。ただ、2年前の19年4月に比べると26%少なく、コロナ禍からの完全回復には程遠い。1~4月の累計は前年同期比7.8%増の88万6,102台だった。
4月の数値を見ると、環境対応車が特に大きく伸びた。購入補助金の対象となる電気自動車(EV)は前年同月比413.8%増の2万3,816台、プラグインハイブリッド車(PHV)も同380.4%増の2万6,988台と3ケタ台の伸びを記録。PHVを含むハイブリッド車(HV)全体では286.7%増えて6万4,094台となった。シェアはEVで10.4%、PHVで11.8%、HV全体で27.9%に達しており、EVとHVの合計は38.3%に上る。
ガソリン車は49.4%増の9万72台に拡大したものの、シェアは前年同月の49.9%から39.2%へと低下した。ディーゼル車は29.2%増の5万195台で、シェアは32.1%から21.9%へと落ち込んだ。
走行1キロメートル当たりの新車の二酸化炭素(CO2)排出量は平均126.4グラムで、前年同月から16.3%減少した。環境対応車が大幅に増えたことが大きい。
伸び率が最も大きかったセグメントは超小型車で、177.6%に達した。これにミニバンが157.3%で続いた。SUV(128.5%)、大型車(113.6%)、中大型車(107.8%)も3ケタ台に上った。
シェアではSUVが24.4%で最も大きく、2位のコンパクトカー(17.8%)を大幅に上回った。小型車は14.2%、超小型車は5.5%だった。
増加率が特に大きかった主要ブランドはスマートで757.0%増の2,014台を記録。これにオペルが174.6%増の1万4,149台、メルセデスが158.5%増の2万1,992台で続いた。このほか、マツダ(147.2%増の3,386台)、日産(146.1%増の2,673台)、ジープ(141.8%増の1,458台)、現代(135.0%増の7,645台)、プジョー(123.4%増の5,301台)、シトロエン(115.2%増の4,739台)、VW(108.4%増の4万3,230台)、双竜(106.9%増の149台)が3ケタ増となった。
ドイツ車はすべて増加した。各ブランドの実績はアウディが87.4%増の1万6,807台、ミニが79.4%増の4,033台、BMWが64.7%増の2万441台、ポルシェが51.9%増の2,014台、フォードが28.0%増の1万1,917台だった。
マツダ、日産以外の日本車ではホンダが92.6%増の732台と平均を上回る伸びを記録した。そのほかはスバルが66.9%増の434台、トヨタが60.7%増の6,076台、レクサスが53.8%増の200台、スズキが43.0%増の1,304台、三菱が5.0%増の2,773台となっている。
日本車以外の主な輸入ブランドはテスラ(23.8%減の484台)を除いてすべて増加した。シュコダは88.4%増の1万3,617台、フィアットは87.7%増の7,109台、ルノーは87.1%増の8,871台、セアトは86.0%増の8,979台、起亜は72.3%増の5,441台、ランドローバーは67.8%増の1,616台、ボルボは37.5%増の3,386台、アルファロメオは29.5%増の268台、ジャガーは16.8%増の703台、DSは15.9%増の190台、ダチアは8.7%増の3,322台だった。
一方、独自動車工業会(VDA)が同日発表した4月の国内乗用車生産台数は前年同月比2,701%増の31万3,900台へと急拡大した。比較対象の昨年4月はコロナの職場感染を防止するために生産がほぼ全面的に停止されていたという事情がある。今年4月は19年4月に比べると22%低い水準にある。
輸出台数も1,011%増え25万2,000台となった。
1~4月の累計は生産台数が前年同期比22%増の125万4,600台、輸出台数が同21%増の96万8,500台だった。
VDAは今回、今年の国内乗用車生産台数を従来予測の前年比20%増の420万台から同13%増の400万台へと下方修正した。半導体不足でメーカー各社が生産調整を余儀なくされているため。
受注は好調で、4月は国内が前年同月を166%、国外が同94%上回った。1~4月もそれぞれ前年同期比10%増、34%増となっている。