フォルクスワーゲン―自動運転相乗りサービス、25年から開始―

自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は12日に開催したテレビ会議方式の記者会見で、自動運転車を利用した相乗りサービスを2025年に開始する計画を発表した。VWブランド商用車で自動運転事業を統括するクリスティアン・ゼンガー氏は「(ミニバン)ID.BUZZの自動運転バージョンで乗客輸送・荷物配送サービスへの商業投入を実現することが目的だ」と述べ、物流業界の需要も掘り起こす考えを示した。

ID.BUZZの自動運転車を用いた相乗りサービスを、移動サービス子会社モイアを通して25年から独北部のハンブルクで提供する。利用者は専用のアプリで近場の仮想停留所まで車両を呼び寄せて乗車。車両は乗客の乗車・降車地点をもとにアルゴリズムで走行ルートを決定する。

モイアは同市ですでに相乗りサービスを行っている。25年からは運転手付きのサービスと並行して自動運転車での輸送を行うことになる。自動運転車の投入は当初、ハンブルク市の一部の地区に制限する。

ハンブルクは同市を環境に優しい安全かつスマートな交通のモデル都市とする計画。その一環ですでに市中心部にテスト走行区間「自動運転車とコネクテッドカー用のテスト区間(TAVF)」を開設済みだ。

VWは米自動車技術会(SAE)が定める「レベル4」の自動運転車(運転をシステムに全面的に任せることが可能)を20年代半ばに実現することを目指している。ハンブルクでの自動運転相乗りサービス投入に向け、今夏からプロトタイプを用いたテスト走行をミュンヘン空港近くの敷地(9ヘクタール)で開始する。自動運転技術の開発を手がける出資先の米アルゴAIの協力を受ける。

自動運転相乗り車両は安全に自律走行するだけでなく、乗客に適切に対応することも必要となる。モイアのロベルト・ヘンリヒ社長は、アプリで予約した顧客が全員、乗車しているのか、あるいは乗客がシートベルトを締めているのか、といったことにも対応しなければならないと指摘。実用化に向けた課題は多いと述べた。

上部へスクロール