デジタル通貨による越境決済、仏・スイス中銀が欧州初の実証実験へ

フランス銀行(中央銀行)とスイス国立銀行は10日、中銀が発行するデジタル通貨(CBDC)による越境決済の実証実験を行うと発表した。欧州ではこうした試みは今回が初めて。両国の中銀が協力する同プロジェクトは、フランスとスイスの国境に沿って連なる山脈にちなんで「ジュラ」と名づけられた。

発表によると、実証実験は金融機関同士の資金決済を目的として発行されるホールセール型CBDCで実施される。ユーロのCBDCとスイスフランスのCBDCの間で多通貨同時決済(PVP=Payment versus Payment)を行い、取引の安全性や効率性を検証する。

スイス金融大手UBSやクレディ・スイス、仏同業BPCE傘下の資産運用大手ナティクシス、スイスを拠点にデジタル資産の取引サービスを提供するSIXデジタルエクスチェンジ、分散型台帳技術の開発を手がける米R3、国際決済銀行(BIS)のイノベーションハブも実証実験に参加する。

仏中銀のグラール副総裁は声明で「ユーロ圏は決済のデジタル化に向けた強いトレンドに適応している。フランス銀行はホールセール型CBDCが金融取引に最大限の安全性と効率をもたらす潜在的なメリットを確信している」とコメント。そのうえで、今回のプロジェクトはあくまでも実験であり、中銀がデジタル通貨の発行を決定したわけではないとつけ加えた。

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