英国のジョンソン首相は14日、新型コロナウイルス対策としてイングランド全域で実施しているロックダウン(都市封鎖)の全面解除を7月19日まで延期すると発表した。当初は21日に解除する予定だったが、インド型変異株(デルタ株)による感染が拡大していることから4週間遅らせる。
1月5日からイングランドで実施されているロックダウンは4段階で緩和されることになっており、5月17日までに第1~3段階の規制が解除された。最終段階ではナイトクラブの営業禁止、職場や店舗、飲食店で人との間隔を少なくとも1メートル空けることを求めるソーシャル・ディスタンス規制などが解除され、経済・社会生活が正常化する。
英国では新型コロナのワクチン接種が進んでおり、成人の57%が接種を終えた。ロックダウンの効果もあって、新規感染者は減っていた。しかし、インド株の流行で再び増加傾向にあり、14日の新規感染者は2月末以来の高水準となる7,742人に達した。その約90%がインド株に感染したケースだ。1週間当たりの感染者増加率は64%に上る。症状が重篤化し、集中治療室に入る人も増えている。
このため、政府はロックダウンの全面解除を延期することを決めた。同判断は最新の研究データに基づくもので、予定通り解除すると入院患者が20年3月と同等の水準まで増加すると試算されている。ジョンソン首相は数千人の命を救うために必要な措置だと述べ、延期への理解を求めた。
ただ、コロナ禍収束に向けた明るい材料も出てきた。イングランド公衆衛生局(PHE)は同日、英国内の接種で主力となっている米ファイザー、英アストラゼネカ製のワクチンがインド株にも有効という研究結果を発表した。2回の接種を終えた場合、感染しても重篤化せず、入院治療の必要がなかった人がファイザーで96%、アストラゼネカで92%に上ったという。
政府はロックダウン解除を4週間遅らせ、同期間中にワクチン接種をさらに加速させたい考えで、40歳以上の人の1回目と2回目の接種の間隔を12週間から8週間に短縮する。