カルテル庁がアップルへの調査開始、GAFA全社が対象に

ドイツ連邦カルテル庁は21日、米IT大手アップルに対する独禁法上の調査を開始したと発表した。巨大デジタル企業を想定して1月に施行された競争制限禁止改正法に基づく措置で、すでにフェイスブック、アマゾン、グーグルに対し同様の調査を進めている。新たにアップルが加わったことで、GAFAと呼ばれる米IT大手4社すべてが調査の対象となった。

競争制限禁止改正法では適正競争を阻害するIT大手の商慣行を早い時点で効果的に制限するための調査権限がカルテル庁に認められている。調査は(1)当該IT大手が個々の市場を超えたエコスステムを構築し競合を圧倒する市場的地位を持っているかどうかを確認する(2)そうした地位が確認された場合、具体的な商慣習について詳細な調査を行う――の2段階で行うことになっている。

カルテル庁は今回、アップルに対し第1段階の調査を開始した。アンドレアス・ムント長官はプレスリリースで、同社が「iPhone」などのハードウエアと独自のオペレーティングシステム「iOS」、「アップストア」「iクラウド」「アップル・ミュージック」などのサービスを一手に提供していることや、高い技術力・財務力を持つこと、第3者企業の事業活動に影響力を持つことなどを指摘しており、アップルが(1)の要件を満たしているとの見方をおおむね固めているもようだ。

第2段階の調査では◇追跡型広告の制限◇自社アプリの事前搭載による違法な自社優遇の可能性◇アプリの開発者に同社の決済システムの利用を強制し、売り上げの30%を手数料として徴収する商慣行――などを吟味する。同庁にはすでに数多くの苦情が提出されている。欧州連合(EU)の欧州委員会など他の独禁当局と連携する意向だ。

欧州委は4月、アップルが音楽ストリーミング市場で公正な競争をゆがめているとの予備的見解をまとめ、同社に異議告知書を送付した。アップストアの支配的地位を乱用し、EU競争法に違反したとの疑いを強めている。

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