「欧州気候法案」が発効、温効ガス「30年までに55%減」

EU加盟国は6月28日、2050年までにEU域内の温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標に法的拘束力を持たせる「欧州気候法案」を正式承認した。これによって同法が7月1日付で発効した。

欧州気候法はEUの包括的な環境政策「欧州グリーンディール」の柱となるもの。欧州委員会が2020年3月に法案を発表した。焦点となっていた30年までの温効ガス削減目標は、従来の1990年比「40%減」から「少なくとも55%減」に引き上げられる。

加盟国は12月の首脳会議で同目標を55%減とすることで合意したが、欧州議会は60%減とする修正案を可決した。双方が調整した結果、欧州議会側が譲歩し、森林の二酸化炭素(CO2)吸収などによる貢献分を差し引いた「正味で少なくとも55%減」とすることで4月に合意。欧州議会が6月24日に承認していた。これに続く加盟国の承認で、発効にこぎ着けた。

EUの現在の環境政策は、温効ガス削減を30年までに1990年比で40%減とすることを前提としているため、新目標の達成に向けて大幅な見直しを迫られる。欧州委は7月14日に新車のCO2排出規制強化など、新たな政策を提案する予定だ。

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