ロシア、輸入品に「シャンパン」名称の使用を禁止

●仏のシャンパンメーカーは当面、輸出見合わせの方針

●EUへのけん制や、国産「シャンパン」の売上増が狙いとの見方も

ロシアのプーチン大統領は2日、外国の発泡ワインメーカーに対して商品名を「シャンパン」と表記することを禁止する法律に署名した。ロシア産の「シャンパンスコエ・ワイン」しか名乗れないようにする狙いで、名称の由来となった仏シャンパーニュ地方産にも適用される。

シャンパーニュ地方のワイン醸造業界団体は5日、「ロシア当局から何の通知もなかった」として、加盟企業にロシアへの輸出を当面見合わせるよう呼びかけた。LVMHグループのモエ・ヘネシーは「詳しい状況が判明するまで」輸出を停止する方針だ。

欧州連合(EU)には、パルマハムやシャンパンなどについて、本場で生産された製品にのみ地名を名称に用いることを許す地理的表示(GI)保護制度がある。ブランド化で競争力を維持するためだが、今回のロシア法はその真逆の内容で、フランス、EUの外交筋も抗議する姿勢だ。

6月のEU首脳会議では、対ロシア関係の改善に向けて独仏が提案した欧州・ロシア首脳会談開催が合意に至らず、逆にロシアに対する態度硬化に至った。これを受けて欧ロ関係の緊張感が高まっているなかの立法で、ロシアのEUに対するけん制とみることもできる。

フランスのメディアではまた、ロシアが編入したウクライナのクリミア半島で作られる「シャンパンスコエ」の復活が狙いではないかと報じられている。ロシアの対EU報復制裁でチーズなど多くの製品を禁輸したことで、該当する製品の国産メーカーが大きく売り上げを伸ばした前例があるためだ。

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