欧州委が「グリーンボンド」規則案を発表、発行基準や運用ルール策定

欧州委員会は6日、サステナブルファイナンス(持続可能な金融)に関する新たな戦略の一環として、EU基準を満たした環境債「欧州グリーンボンド(EUGB)」に関する規則案を発表した。欧州委が4月に公表した「タクソノミー」の分類に沿って投資対象となる気候変動など環境関連事業を定義し、環境債を発行する企業に第三者機関による審査を受けることを義務付けるなどして透明性を高め、環境問題への取り組みを誇張して投資家をミスリードする「グリーンウォッシング」を排除しながら環境債の発行を促す。欧州議会と加盟国の承認を経て早期の導入を目指す。

EUは2050年までに域内の温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標掲げ、中間目標として30年までに1990年比55%減の実現を目指している。欧州委によると、30年の目標達成には年間3,500億ユーロの追加投資が必要で、EUはその多くを民間からの投資で賄おうとしており、環境債を有望な手段と位置づけている。しかし、現在のところ環境債の発行は業界ごとの基準に依存しており、グリーンウォッシングのリスクなどが指摘されている。このため欧州委は欧州グリーンボンドの発行基準や運用ルールを法制化することで、投資家の信頼を高めて発行を促すと同時に、EUGBの基準を環境債市場で世界標準にする狙いがある。

規則案によると、EU域内だけでなく、域外の発行体もEUが定める基準を満たせば発行する債券を欧州グリーンボンドと名付けることができる。債権自体の要件としては、投資対象となる事業がEUタクソノミー(気候変動など環境問題の解決に貢献する持続可能な経済活動を6つの目的に分類した、EU独自の基準)に沿っている必要がある。企業などの発行体は環境債を発行する前に資金調達の目的や使途を公表し、発行後は実際に資金をどのように使っているか報告書を作成する。欧州証券市場監督機構(ESMA)に登録された第三者機関が活動内容や報告書の内容を評価し、基準を満たしていない場合は発行体に罰金を科す可能性がある。

欧州委のマクギネス委員(金融サービス担当)は「EUGBは基準が厳格で信頼性が高い。気候変動に対応して温室効果ガス削減目標を達成するため、より多くの資金がサステナブルファイナンスに向かうようにする必要がある」と述べた。

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