ロシアが新国家安全保障戦略を発表、科学・情報技術が焦点に

ロシアのプーチン大統領は3日、新しい国家安全保障戦略に署名した。同戦略の見直しは6年ぶり。同国の安全保障に対する脅威に関する認識が示されている。科学、技術、情報セキュリティを大きく重視しており、とくにIT技術を使った外国勢力による政治介入への警戒感が強い。このため、情報や情報技術に対する政府統制をさらに強化していく方針を示した。

新戦略では、科学技術分野における技術的な独立性を確保するため、国家の統制下でその発展を促しリードしていく方針が明示化されている。具体的には世界中の優秀な科学者を同国に招聘するほか、同分野に関する安全保障関連部局の下に国際協力センターを設置し、国産技術の国外への流出防止や、民生分野と軍需産業の協力促進、科学技術とイノベーションの国家による統一的な管理を行っていく方針が示されている。

情報セキュリティ分野については前回の2015年の戦略から大きく変更されている。同分野の具体的な脅威として◇不確実な情報を拡散したり、国家が社会的に重要とみなしている情報を遮断したりする外国のテクノロジー系企業◇政治的な意図で行われる歴史上の事実やロシアで生じている出来事の歪曲◇IT技術を使った内政干渉や主権の侵害及び領土の侵略◇テロリストや過激派組織の情報の流布、並びに大衆扇動や違法集会への参加呼びかけ◇犯罪行為につながる匿名性◇外国製のIT機器を利用することによる同国の情報環境の脆弱性の拡大――を挙げている。

対策として、情報の脅威に対抗する力と手段の向上が必要だとして、人工知能(AI)や量子コンピューターなどの高度な技術を駆使してITセキュリティを向上させるべきだとしている。

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