与党CDU/CSUの財政方針を経済界が批判

中道右派の与党キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が9月の連邦議会選挙に向けて打ち出した財政政策を経済界が批判している。独産業連盟(BDI)の文書をもとに12日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じたもので、均衡財政の速やかな実現を目指している点を問題視している。

CDU/CSUは6月下旬に公表した選挙プログラムで、コロナ禍対策で膨らんだ公的債務を再び圧縮し、均衡財政を可能な限り早く実現する方針を打ち出した。債務残高の対国内総生産(GDP)比率を60%未満とすることを加盟国に義務付けた欧州連合(EU)のルールを再び順守できるようにすることを目指している。行政などのデジタル化や温暖化対策で必要となる巨額の資金については経済成長とそれに伴う税収拡大で捻出できるとの立場だ。

これに対しBDIは、「危機から抜け出して成長するためには何年にも渡る投資攻勢が必要だ」と指摘。財政赤字の計上を回避する「シュヴァルツェ・ヌル(黒字のゼロ)」政策への復帰を急ぐあまり、今後必要な投資資金を捻出できなくなる事態は絶対に回避しなければならないとして、CDU/CSUに公約の見直しを求めている。巨額の投資資金を経済成長で捻出できるとする両党の立場に対しては、エコノミストの間からの現実的でないとの批判が出ている。

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