独バイオ医薬品企業ビオンテックは26日、マラリアワクチンの開発に着手すると発表した。マラリアに対しては現在、効果の高いワクチンが存在しないことから、優れた製品の開発に成功すればマラリア撲滅につながる可能性がある。世界保健機関(WHO)や欧州連合(EU)の支援を受ける。
伝令RNA(mRNA)ベースのワクチンを開発する。まずは候補物質を選定し、来年末までに臨床試験を開始する。効果が高く持続期間も長い製品の実現を目指す。
ワクチンの生産はマラリアの最大の流行地であるアフリカで行う。WHOが建設するアフリカ技術移転センターの近くに提携ないし単独でmRNA工場を設置する。同工場ではmRNAベースの他のワクチンも製造できるようにし、現地の感染症対策に幅広く寄与する意向だ。
マラリアワクチンには現在、英グラクソ・スミスクライン(GSK)が開発した製品があるものの、感染防止効果は極めて低い。生後17カ月から5歳の乳幼児を対象にガーナ、ケニア、マラウイで行われたパイロットプロジェクトでは、4年間の観察期間中に参加者の40%が感染。感染者の30%は重症化した。