●「未学習の状況における予測」を課題にモデルを作成・改良
●自動運転車の性能・安全性向上がコンペの大きな柱
ロシアIT大手ヤンデックスは22日、深層学習(ディープラーニング)の国際学会「神経情報処理システム(ニューリップス:NeurIPS)」のコンペティションで英オックスフォード、ケンブリッジ両大学と提携すると発表した。今年の課題は、「未学習の状況における予測」で、判断の不確実性もシステム自身にはじき出させる。
コンペティション3部門のうちの1つは自動運転車(AV)だ。具体的には、周囲の自動車や歩行者などの軌道予測を行うモデルの作成が課題となる。訓練・検証および審査に用いられるデータセットをヤンデックスの自動運転事業が提供する。
このデータセットは米国、イスラエル、ロシアの6都市で実施された自動運転技術試験で集められた。運転時間1,600時間に相当する60万シーンが含まれる。コンペ参加者は第1段階で、提供された訓練データを用いてモデルに学習させる。第2段階では10月に公表される検証データを使ってモデルを改良する。提出期限は10月末で、11月に審査委員会が試験データをもとに、各モデルの性能を確かめる。試験データには学習・改良時になかったシーンが含まれ、モデルが「過去の経験」をもとに、初めての状況でどれぐらい正確に判断を下せるかが一つの焦点となる。
もう一つの焦点は、モデルが自らの判断の正確性をどう見積もっているかだ。「自信がどれほどあるか」を相応にはじき出す能力が、AVの安全性確保に大きな意味を持つためだ。
ヤンデックスは「晴天のテルアビブで訓練した予測モデルが、雪の降る冬のモスクワで、他の運転手の意図を正しく予測できるようでなければいけない」と説明する。
他のコンペ部門は機械翻訳と天気予測で、やはりヤンデックスの翻訳・天気予報サービスで集められたデータセットが用いられる。入賞者はいずれも11月末に発表される。